猫は重い。 | 勝手気まま。

猫は重い。

カーラ教授と呼ばれる川原泉さんの、哲学チック(哲学的、ではなくてあくまでも哲学チック、という表現が良く似合う)な漫画がむかしから大好きで。

でも全然知らなかったので驚き。『笑う大天使(ミカエル)』映画化か……。



著者: 川原 泉
タイトル: 笑う大天使(ミカエル) (第1巻)

お嬢様学校にうっかり転入する羽目になった一般大衆市民の【ごくごく普通な】女の子が、お嬢様であるはずの猫かぶりクラスメイトと繰り広げる可笑しさ満載の学園生活。しかもさらにうっかり、微妙に混ぜ合わせた沼色の実験溶液を頭からかぶってしまったら、なんと超人的怪力女子高生に。


特大の猫をかぶったお嬢様もどきたちの必死な攻防が、笑いを誘って、読んでいるうちについ、くすくす。ああ、わかるなあ、特大な猫って重いよねえ……、とか。庶民はやはりあじの開きだよなあ、とか。あれ。なんか着眼点がおかしいな、自分……。

それにしてもワイヤーアクション有りで映画化、なんて吃驚するやら可笑しいやら、観たいような観たくないような、ああ複雑。カーラ教授の漫画の魅力は、キャラクタやストーリも勿論だけれど、あの哲学チックな七五調のモノローグと、唇一文字に結んだ凛々しい表情描写なんかにもあるわけで、ソレを映像化するのは相当難しいんじゃないかしら……。ファンとしては心中複雑。

この主人公扱いの女子高生は三人居て、それぞれのキャラクタが際立ってる。カーラ教授ご本人が、インタビューで以前、
「この三人のそれぞれの短編を書きたくて、そのための前ふり土台の話として『笑う大天使』を描いた」
というようなことを仰っていた記憶があるのだけれど、確かにコミックスに収録されているこの三人がそれぞれ主役を張る三つの短編は、さらに面白くてほろ苦くて、切ない。映画化にあたって、あの短編がさらりどこかで活きていると、個人的にはうれしいんだけど、あれを映画におさめるんだったら、エピソードもりだくさんには出来ないんだろうなあ……。